台風が行き過ぎ、いつになく涼しい夏の朝ですね。
本日紹介する文庫は、川端康成『古都』。
京都の移ろいゆく季節を背景にその土地や自然の動きを絵に写すように丁寧に拾い上げ、
物語に登場する少女たちの心の細かな揺らぎとともに日本の情緒を美しく表現しています。
実はこの作品、あとがきにて著者が睡眠薬に酔って書いた「異常な所産」だと告白しています。
名作と呼ばれる『雪国』とはまた別の、揺れのある文体が
しかし読んでいるこちらの気分までゆらゆらと揺らし陶酔させるようで心地よいのです。
絵巻物のように描かれる京都の一年。
読んだあとはきっと春夏秋冬、どの季節も古都を訪れこの目でその景色を確かめ味わってみたくなります。
日本の奥ゆかしさを日本語のもつ美しさとともに堪能してみては?
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