石川啄木『悲しき玩具』です。
この一冊には、「我を愛する歌」と晩年の病んだ身を詠った歌を
多く含む「悲しき玩具」の2編が収録されています。
啄木の歌は生活の中で感じた感傷や、小さな喜びを率直
に表現した、わかりやすい歌で有名です。
ですが、テーマがシンプルなだけに、そんな場面にも感じ入ることがあるのかと
ハッとさせられる歌ばかり。
「ある朝のかなしき夢のさめぎわに 鼻に入り来し 味噌を煮る香よ」
「ある日のこと 室の障子をはりかえぬ その日はそれにて心なごみき」
ひと月にいっぺんは起こりそうな、何でもないことなのに、
歌にされると、なんとなく「こんなことあるなぁ…」としみじみしてしまいますよね。
なにかと感傷的になる(?)夏の夕方などには、ぼんやりと啄木の歌を味わうのも
いいのではないでしょうか。
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