この作品、挿画を奈良美智さんが担当しており、
1冊でばななさんと奈良さんの作品を楽しめてしまう、
すごくおトクな文庫です。
家族、友情、恋、死…といったキーワードが思い浮かぶこの物語。
少しずつ何かを積み重ねるような展開は、
「静謐」という二文字が似合うと感じましたが、
一方途中、挟み込まれるやきそばの描写や笛の音のエピソードなどが
とても鮮やかで、五感を刺激されます。
そして、奈良さんの作品は
あの柔らかい雰囲気を残しつつ、
物語の世界観にとても忠実。
思えば、吉本さんの作品が持つ独自の空気感は
奈良さんの作品につながるものがあるような気がします。
となれば、二人の息がぴたりと合うのも当然。
お互いの作品がそれぞれを高めあう、
理想のコラボ作品ではないでしょうか。
1ページ1ページ、大事にめくりながら
読み進めていく、
そんな贅沢な読書をするなら、この1冊だと思います。
ではでは最後、今週おすすめのエンタメ情報はこちら、
現在公開中の映画「ちいさな哲学者たち」。
フランスのある幼稚園で哲学の授業を取り入れることになり、
そこに通う子供たちが3歳から5歳の間に
どういった話を交わしていったのか、
それを記録したドキュメンタリー映画です。
そんな小さな子供に哲学の話なんてできるの?
って思うかもしれませんが、いやいや、子供の力はあなどれません。
大人よりも本質的な部分をズバズバ突く発言に
きっとドキッとさせられると思います。
上映館がちょっと少ないのですが、
この夏、かわいらしい哲学者たちがすくすくと育つ様子は
絶対見逃せませんよ~!
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