画家が自分の描いた絵を女に示し君はこの絵を前にしてどう思ったのだどう感動したのだと問う。女は困惑した様子でわからないと正直に告げる。画家は、それでいいわからないものをわかったふりをするのがいちばんいけないのだと笑った……
とだいたいまあこんな感じのワンシーンが岡本太郎の一生を描いたドラマ『TAROの塔』にあったように記憶しているのですが、そもそもよくわからない小難しいものはなんだかありがたいもののような気がしてしたり顔で受け取ってしまいがちではないでしょうか私たち。わからないものはわからないと正直に言っていい、それならばわからないと認めた上でわからないものを楽しんでみませんか。
本日おすすめするのは、つげ義春『ねじ式/夜が掴む』。
『ねじ式』は漫画好きなら一読しておくべきだと方々で叫ばれており、つげ義春の代表作となるのでしょう、映画化もされています。
夢の中の出来事を漫画にしたとされているこの作品は夢よりもずっと不条理で、意味のないこと、意味のわからないことが与える不安のようなものに覆われています。
よくわからない作品なのですから、もはや解釈を加えるのさえ困難です。
しかし、それでも何度も読み返してしまうのは、不条理を支えるしっかりとした構成、妙にリアリティーのある絵のせいでしょうか。
つげ義春の漫画はちくま文庫からつげ義春コレクションとして発売されているようなので、わたしもコレクションしてみようかと思います。
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