2011年6月2日木曜日

『いつもポケットにショパン』を。

本日紹介するのは、少女漫画です。
くらもちふさこ『いつもポケットにショパン』。
幼い頃、何か習い事をしていましたか?
ピアノ教室に通っていたという女の子はきっと多いはず。
今はピアノから遠のいてしまっていても、
ふとした瞬間に無性に弾きたくなって胸がうずうずする、
そんなことってありませんか?

この漫画に出てくる幼馴染の麻子ちゃんと季晋くんは
ピアノのある家に生まれ、ピアノと共に育ちます。
二人はいつもいっしょ。ピアノの傍で遊ぶのが楽しくて仕方ない
そんな毎日なのですが、
時が経ちいつしか離れ離れになり、すれ違い、再会し、競い合い・・・
それでも互いを認め合えるその絆は誰も踏み込めない二人の世界にあります。

わたしは小さい頃、ピアノを習っていたあの頃
家の本棚で見つけて読んだその日から、麻子ちゃんの大ファンです。
名ピアニストの娘として生まれた彼女は、
不器用で鈍感でおっちょこちょいだけど一生懸命で一途な女の子。
今にも崩れ落ちそうな自信を胸に
つまづく度、いつまでも子供っぽく成長しない自分に気づいては
恥ずかしくて悔しくてどうしようもなく泣いちゃうのです。
温かな周りの人々の支えのなかで大人になっていく麻子ちゃんが
可愛くていじらしくて、仕方ありません。

そして感じる、音楽の力。
喜びも哀しみも苛立ちも不安も、誰かへの愛情も
音は、言葉以上に弾く人の心をあらわし
聴く人の心の深いところにまで染み入っては感情を大きく揺り動かします。
漫画を読みながらそれを思い知るというのも、不思議。
きっと音楽をやる人もやらない人も、子供も大人も
あらゆる視点から楽しめるはず。
子供のとき愛読していたものを大人になってから読み返すと、
その頃とはまた別の感慨に触れる、そういうの、嬉しいですね。
(母親になってから読むとまた違うのだろうな、とそんなことも思いながら・・・)

くらもちふさこさんの柔らかく可愛らしいイラストで描かれたこの作品。
全てのコマ、全てのセリフを「音」を、ひとつも漏らすことなく
大事に大事に拾いながら頁をめくってみてください。
きっとあなたの耳にも、優しいピアノが聴こえてきます。
そしていつもより、周りの家族や友人を大切だと思えるかもしれません。


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