今週も俵万智さんの歌集をご紹介します。
彼女の28歳から34歳までの間の歌を集めた
『チョコレート革命』という歌集です。
これには、旅先での思いを詠んだもの、
17歳で亡くなった少年の残した詩や文章に対する反歌
などが収録されていますが、
中でも惹きつけられるのは、
妻子ある男性との不倫関係から生まれた愛の歌。
先週ご紹介した『サラダ記念日』で
うたわれていたのは
日常的な愛のよろこび。
それに対し今作では、
非日常的な愛の苦しみや、理性の喪失がうたわれています。
非日常的でありながらも、
孤独感ゆえの感傷や、逆に一緒にいられる時間の尊さは、
歌という短剣になることで、
読む者の心に鋭く刺さるように伝わってきます。
しみじみと流れるような愛もいいけれど、
我慢できずに吹き出るような愛も、
人生のうちに一度経験してみたいものですね。
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