2011年8月12日金曜日

「ひな菊の人生」

本日のおすすめは吉本ばななさんの「ひな菊の人生」。
この作品、挿画を奈良美智さんが担当しており、
1冊でばななさんと奈良さんの作品を楽しめてしまう、
すごくおトクな文庫です。

家族、友情、恋、死…といったキーワードが思い浮かぶこの物語。
少しずつ何かを積み重ねるような展開は、
「静謐」という二文字が似合うと感じましたが、
一方途中、挟み込まれるやきそばの描写や笛の音のエピソードなどが
とても鮮やかで、五感を刺激されます。

そして、奈良さんの作品は
あの柔らかい雰囲気を残しつつ、
物語の世界観にとても忠実。
思えば、吉本さんの作品が持つ独自の空気感は
奈良さんの作品につながるものがあるような気がします。
となれば、二人の息がぴたりと合うのも当然。
お互いの作品がそれぞれを高めあう、
理想のコラボ作品ではないでしょうか。

1ページ1ページ、大事にめくりながら
読み進めていく、
そんな贅沢な読書をするなら、この1冊だと思います。


ではでは最後、今週おすすめのエンタメ情報はこちら、
現在公開中の映画「ちいさな哲学者たち」。
フランスのある幼稚園で哲学の授業を取り入れることになり、
そこに通う子供たちが3歳から5歳の間に
どういった話を交わしていったのか、
それを記録したドキュメンタリー映画です。
そんな小さな子供に哲学の話なんてできるの?
って思うかもしれませんが、いやいや、子供の力はあなどれません。
大人よりも本質的な部分をズバズバ突く発言に
きっとドキッとさせられると思います。
上映館がちょっと少ないのですが、
この夏、かわいらしい哲学者たちがすくすくと育つ様子は
絶対見逃せませんよ~!

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