2011年6月16日木曜日

『軽蔑』

本日紹介するのは、中上健二『軽蔑』。
フリーペーパー『文庫ガール』でも紹介されているこの小説は
廣木隆一監督により映画化され、6/4より公開中です。

近ごろ小説や漫画を原作とした映画が多く撮られていますが、
皆さんは原作を読んでから映画を観ますか?それとも?
わたしはまず映画を観に行き、気に入ったものは原作に触れ振り返るというのが常です。
それは既に活字で読んだもののイメージが壊されるのを恐れるためかもしれませんが、
先に原作を読んでおくと、物語以外の映像や音楽の演出に目を向ける余裕ができますね。
楽しみ方はそれぞれ。

今回は原作を読まず映画を観た感想をもとに紹介してゆきます。
夜の繁華街で売れっ子ダンサーとして輝く真知子と博打に手を出しその日暮らしのお坊っちゃま、カズ。そんな二人の幸福を祝ってあげるほど世間は寛容ではなかった…。
洗練された色合いの映像と言葉よりも表情で見せる長い間の取り方、場面によく似合う音楽がこの悲壮感漂う物語を映画というひとつの芸術作品として見事に仕上げています。

なんと言っても、鈴木杏、高良健吾という二人の主演俳優による人間臭い迫真の演技が後を引きます。
「五分五分ね、」と言い合う二人。恋愛する男女の間に対等な関係を保つことほど大切で、しかしそれこそ最も難解なのでしょうか。
そして愛情は、相手に必要とされ頼られているという実感がなければ続かない。
しかし、そんな図式で表せるほど恋愛は単純でも論理的でもなく、
ときに感情に身を任せ、行く先は運命に委ねるというほど潔い心が導いてゆくのかもしれません。
・・・とこれ以上はネタバレになってしまいそうなので、ぜひ劇場にてどうぞ。
映画のなかのストーリーは小説と異なる部分もあるようなので、
原作を読んだ方もまた一味違う『軽蔑』を楽しめるはず。

映画『軽蔑』http://www.keibetsu.jp/index.html
角川シネマ有楽町、角川シネマ新宿他にて大ヒット上映中。

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