2011年5月24日火曜日

46番目の密室

今回紹介しますは有栖川有栖『46番目の密室』。
有栖川先生の火村シリーズ第一弾です。

シャーロック・ホームズから明智小五郎、古来より探偵の登場するミステリーは枚挙に暇がありませんけれど、探偵と同時に忘れてはならないのがワトソンくん、つまり探偵の助手役の存在です。
彼らワトソンくんは探偵の類稀なる推理力を際立たせるためになんともぼけぼけな推理をすると同時、その失敗から真実への道を探偵に向かって示す役割も担っております。
また、推理に関してはぼけぼけなワトソンくんも、探偵というのは大抵が奇人変人常識からちょっぴり外れちゃった人でありますから、時折飛び出す突拍子もない探偵のボケにはツッコミを入れねばなりません。おまけに奇人変人常識からちょっぴり外れちゃった探偵さんは生活力が低い場合もあるので時にはそちら方面のお世話をすることも求められるでしょう。

断言しましょう、探偵と助手の関係は夫婦漫才に似ています。

この火村シリーズの探偵・火村英生と助手・有栖川有栖も、きれいなボケツッコミの関係でありましょう、なんて言ってみましたけれど有栖川が関西弁なので特にそう感じられてしまうだけなのかもしれません。
また、このふたりのコンビネーションの妙なことといえば、その職業。火村は犯罪社会学者、有栖川は推理作家。
犯罪社会学者推理作家。
二つ並べるとほら、もうすでに陰惨な事件のかおりが漂って来ました。


ミステリーには、虚構の美しさ、というものが存在するのではないでしょうか、それは陰惨な死体をも文字を媒介して美しく飾りたてるのです。
不可思議な様子で殺された被害者、事件に絡み付く恋愛模様。

ミステリーを読んだことのないあなたも大のミステリーファンのあなたも文庫ガールなあなたも、ぜひ一度火村探偵と推理を楽しんでみませんか。
いちばんのミステリーは、火村探偵の魅力。



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