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2011年5月26日木曜日

『色ざんげ』 雨の音を聴きながら。

新緑の五月も残りあとわずか。梅雨の時期が近づいていますね。
近頃は雨の日グッズも可愛いものが続々と出ていて、
お気に入りの傘とレインブーツさえあれば
機嫌よく過ごせちゃうという女の子もきっと多いことでしょう。

それでもやはり、じとじと雨の降る日は外に出ず家でくつろぎたい
という方に、おすすめの文庫本を紹介します。

宇野千代『色ざんげ』。
恋愛は男と女の駆け引きであり、感覚を頼って駒を進めてゆくしかないのでしょうか。
主人公の洋画家・湯浅譲二は日々狂ったかのようにあくせくと恋愛をしてゆきます。
その結果、さまざまな事情がこんがらがり、収拾がつかなくなり・・・
それでもまだ恋をし、愛を求め、自惚れる心を恥じることもあまりせず。
どんなに頭で考えても仕方のないことで、
心を突き動かすのは、いつだって「会いたい」という気持ちであるように思います。
人はみな孤独であるが故、恋愛をせずにはいられないのかもしれません。

どんな恋愛本や女性誌に書いてあることよりも、
小説の世界に浸り、感じ得たことの方がずっと心に残ります。
わたしが初めて宇野千代さんの作品を読んだのは『おはん』でした。
文庫サイズの限られた頁にぎっしりと埋め尽くされた文字、
一文が長く読点は少ない、しっとりと流れるようでいて熱い情感の込められた筆致が
いたく気に入ってしまい、一息に読み終えると震えながら泣いたのを覚えています。

明治生まれの女流作家の恋愛小説に出てくるのは、
ダンスホールと電報と汽車と。
今の時代に生きていてはおそらく経験できない物事に触れ、味わえるのは
やはり文学の世界のなかでしかないように思います。
絵でも映像でもなく、言葉のみによって想像できる世界。
それはどこまでも際限なくわたしたちの前に広がっています。

雨の止まない夜、眠れないなと思ったら
覚悟を決めて一冊、本を開いてみてはいかがでしょうか。


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